どろどろしたW不倫「あなたのことはそれほど」
ちょっと息抜きがてら、マンガの感想でも書く。
いくえみさんのマンガは大抵読んだような気がするけれど、とりあえず最新刊を読んだばかり、旬なこのマンガを紹介しようと思う。
あらすじ
占い師は言った「二番目に好きな人と結婚するのがいい」。医療事務員・美都は飲み会帰りに初恋の人・有島に再会、男女の仲に。しかしお互い既婚者で…。夫婦二組の思惑が交錯する出口なしのマリッジライフ。
FEEL YOUNG公式サイトの奥底で見つけたあらすじがこんな感じ。営業かけたくなるほど祥伝社のHPはやる気がないな。
はやい話が、W不倫のお話。
夫に対して不満はないけれどときめきも無いなぁ、と思っていた主人公が、初恋の人(イケメン)にバッタリ再開して、そのままずるずると関係を持ってしまう。不倫相手のイケメン(有島くん)も、良くないよなぁと思いながらも流されて、泥沼に陥っていき…というお話。
リアルでおそろしい
いくえみ綾のマンガはいつも人の気持ちの細かい描写がとっても上手で、言葉に出せない悲しみや不安や嬉しさや、そういうものを台詞以外の所でうま~く表現されることが多い。
ファンタジー色が強いマンガも結構多いのだけれど、丁寧な心理描写のおかげかどこか現実味があって、実写化にとても向いている漫画家だとおもう。
で、この「あなたのことはそれほど」もご多分に漏れずリアル。リアルすぎてこわい。
メインの登場人物は4人で、不倫した当事者2人とそれぞれの配偶者について描かれているのだけれど、登場人物ひとりひとりの心情や感情がリアルなんですよ。
なので今回は、登場人物4人の紹介をしながら感想を書くよ。
一番わかりやすい。主人公・渡辺 美都
なんだかんだで共感してしまう…。
大切にされてないことなんて自分でもわかっているくせに、どうしようもなく不倫相手に惹かれてしまうバカな女の子。
真剣に怒って説教してくれる友達もいて、嫌いな実家にも帰ることができる。きっととても恵まれているのだとおもう。
美都に関しては、もちろん有島への気持ちの暴走もよく描かれているのだけれど、それよりも夫に対する気持ちがとてもリアル。
何をしても「愛している」「大丈夫」と言う夫に恐怖をおぼえたり、些細な事が凄く嫌になったり。あの居心地の悪さは、なんだかわかるよ。
普通にダメだよねイケメン・有島光軌
割とイケメンで流されやすくって、ちょっと可愛い昔の同級生に好意を向けられただけでコロッと流されてしまう残念なお人。
しかしさすがはモテ男、なんというかとてもズルくて、変に素直で奥さんのことも好きで、振り回されてしまう人の気持ちもわかる。
八方美人ということなのだと思うけど、本人はわりかし真面目なんだよな、きっと。
あと、いくえみ綾の描く男は揃いも揃ってイケメン揃いで本当に魅力的なんですよね。どれだけ魅力的かというと、むかし「いくえみ男子」なる本が出版されたくらい。

いくえみ男子 ときどき女子 Bitter Sweet Voices いくえみ綾 名言集 (マーガレットコミックスDIGITAL)
- 作者: いくえみ綾
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/03/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
ちなみにわたしのナンバーワンいくえみ男子は「わたしがいてもいなくても」のひーさんです。
愛情と狂気・渡辺 涼太
個人的には一番こわい。ほんとこわい。主人公の夫。
主人公のことを愛していて、大事にしていて、人当たりも良くて料理も上手で、本当に夫としては非の打ち所がないのだけれど。
何か違和感を覚えたときにこっそり携帯チェックするわ、偶然を装って不倫相手の夫妻に会っちゃうわ。
とにかく一言で言えば「重い」。それに尽きる。
もちろんそうさせてしまった主人公が悪いのだけれど。
それでも、不倫が明るみに出たときに「なじりあったり、話し合ったりしないの?」と言う妻に対して「変わらず愛するよ」と告げ、不倫相手の子を妊娠したかもしれないと言った妻に対して、「大丈夫。きっと愛情を持って育てられる」と笑顔で言う彼に引いてしまう主人公の気持ちは、、めっちゃわかるよな。
賢くしたたか・有島麗華
良妻賢母で地に足がついていて、しっかりものの有島嫁。
この人は唯一まともな人のような気もしているのだけれど、しっかり者でいなければならなかった生い立ちと、自分は愛される人間ではないというコンプレックスが強くて、敵に回したらヤバイ感がひしひしと出ている。
有島くんはこの人を伴侶に選んでいて、それはきっとこの人がかくしもっているかさみしさとか、いじらしさとか、そういうものに惹かれたのだと思う。
だからこそ、大切にしなきゃいけなかったのになぁ。母は強し、だよ。
人を愛するってむずかしい
不倫カップルに焦点があたるのではなく、その問題をきっかけに浮き彫りになる周囲の人たちの心の中の奥底にある内面に焦点があたっているので面白い。
なんだか読んでいて過去の恋愛を思い出させられる漫画なのだけれど、二十代後半~とかの女性には特におすすめです。
みんなマンガもっと読もうぜ!